鈴木が、「温泉地域におけるテレワークで年間CO2排出量約74%減」という結果の論文を発表しました。
論文タイトルなど
タイトル:テレワークと温泉熱利用による環境負荷低減効果の検証:鳴子地域のケーススタディ
著者:鈴木杏奈・長谷川諒・稗貫峻一・窪田ひろみ・伊藤高敏
雑誌:日本地熱学会誌
DOI: 10.11367/grsj.44.111
URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/grsj/44/3/44_111/_article/-char/ja/
発表のポイント
- 都会の働き手が地熱エネルギー*1を熱として直接利用できる「温泉地域におけるテレワーク」に着目
- 温泉浴用と温泉熱暖房を毎日活用しながらテレワークを実施することで、従来型よりも年間約74%のCO2排出量削減
- エネルギー消費者の環境や社会の持続性を配慮した行動選択に期待
概要
地熱エネルギーは発電だけでなく、熱の直接利用によっても、国産エネルギーの利用率の増加、環境負荷の低減が期待できます。地熱資源を熱として直接利用するためには、地熱資源のそばで地産地消する必要がありますが、これまでの日本では、人口が都市部に一極集中し、地熱資源のある地域では過疎化が進んでいました。
東北大学の流体科学研究所鈴木杏奈准教授ら研究グループと横浜国立大学の先端科学高等研究院(IAS)リスク共生社会創造センターの稗貫峻一客員准教授は共同で、地熱資源の直接利用促進の新たな可能性に注目しました。そして「温泉地域におけるテレワーク」という働き手の新しいライフスタイルに着眼し、エネルギー消費者が温泉地域にてテレワークを実施することによって環境負荷にどのような効果をもたらすのかをライフサイクルアセスメント(LCA)*2によって定量的に評価・分析しました。その結果、通勤しながら職場で働く従来型と比べて、温泉地域で温泉浴用と温泉熱暖房を活用しながらテレワークを行うことにより、年間CO2排出量を約74%削減できることがわかりました。
本研究成果はSDGsを意識した行動が消費者にも求められる時代において、消費者の環境や社会の持続性を配慮した行動選択のきっかけとなると期待されます。